都市再生特別措置法に基づく立地適正化計画 とは?

都市再生特別措置法とは?重要事項説明で確認すべきポイントをわかりやすく解説


重要事項説明書の「都市計画法・建築基準法以外の法令に基づく制限」の中には、「都市再生特別措置法」という項目があります。


一般的な住宅売買では該当するケースはそれほど多くありませんが、対象となる不動産では買主へ説明しなければならない重要な法令です。


この記事では、都市再生特別措置法の概要と、重要事項説明で確認すべき対象区域や制限内容について分かりやすく解説します。


  1. 都市再生特別措置法の対象区域は重要事項説明が必要


  2. 特に「立地適正化計画区域」は住宅取引でも該当することがある


  3. 区域によって届出義務や協定の承継などの制限がある

重要事項説明が必要となる主な対象区域


売買対象となる土地や建物が次の区域に該当する場合は、都市再生特別措置法による制限について重要事項説明を行います。


  • 都市再生歩行者経路協定区域
  • 退避経路協定区域
  • 退避施設協定区域
  • 管理協定区域
  • 立地適正化計画区域内(居住誘導区域外)
  • 立地適正化計画区域内(都市機能誘導区域外)
  • 非常用電気等供給施設協定区域
  • 個別利用区
  • 特定用途誘導地区

一般的な住宅売買で最も確認する機会が多いのは、「立地適正化計画区域」と「居住誘導区域」に関する制限です。

都市再生特別措置法とは


都市再生特別措置法は、平成14年(2002年)に制定された法律で、都市機能の向上や防災性の強化、コンパクトなまちづくりを推進することを目的としています。


人口減少や少子高齢化など社会情勢の変化に対応し、民間事業者による再開発や都市整備を円滑に進めるための制度が数多く設けられています。


また、都市再生緊急整備地域では、通常より柔軟な都市開発を可能とする特例制度も整備されています。


都市再生の主な目的

  • 都市の国際競争力を高める
  • 防災機能を強化する
  • コンパクトシティを推進する
  • 住宅団地や市街地の再生を促進する

立地適正化計画と居住誘導区域とは


平成26年(2014年)の法改正では、「コンパクトシティ」の考え方を推進するため、立地適正化計画制度が創設されました。


立地適正化計画とは、市町村が将来の人口減少を見据えて、住宅や商業施設、医療・福祉施設などを適切な場所へ集約するために策定する都市計画です。


この計画では、主に次の2つの区域が定められます。


  • 居住誘導区域…住宅を積極的に誘導する区域
  • 都市機能誘導区域…医療・商業・福祉施設などを誘導する区域

居住誘導区域の外側だからといって建築できないわけではありません。ただし、一定規模以上の住宅開発などでは市町村への届出が必要になる場合があります。

居住誘導区域外で必要となる届出


立地適正化計画区域のうち、居住誘導区域外で一定規模以上の住宅開発や建築を行う場合は、都市再生特別措置法第88条により、市町村長への事前届出が必要になります。


届出は、工事着手日の30日前までに行わなければなりません。また、届出内容を変更する場合も、変更前に届出が必要です。


重要事項説明のポイント

  • 立地適正化計画区域かどうか
  • 居住誘導区域の内外
  • 都市機能誘導区域の内外
  • 届出義務の有無

居住調整地域とは


居住調整地域とは、無秩序な市街地の拡大を防ぐため、住宅の立地を抑制する区域です。都市再生特別措置法に基づき、市町村が立地適正化計画の中で定めます。


居住誘導区域とは反対に、住宅を積極的に増やさないことを目的として指定されるため、住宅の建築や開発には一定の制限があります。


居住調整地域では、市街化調整区域と同様の取扱いとなるため、住宅の建築や開発には許可が必要となる場合があります。

具体的には、都市計画法第34条(開発許可)および第43条(建築許可)の規定が準用されるため、建築計画の内容によっては許可を受けなければ工事を進めることができません。


重要事項説明のポイント

  • 居住調整地域に指定されているか確認する
  • 住宅の建築・開発に許可が必要となる場合があることを説明する
  • 建築計画がある場合は事前に行政へ確認するよう案内する

特定用途誘導地区とは


特定用途誘導地区は、都市機能誘導区域内において、医療・福祉・商業施設など都市機能の集積を促進するために定められる地区です。


都市計画法の地域地区の一つであり、必要に応じて建築物の用途制限や容積率などの規制を見直し、誘導したい施設を整備しやすくする制度です。


そのため、通常の用途地域とは異なる建築ルールが適用される場合があります。


  1. 医療・福祉・商業施設などの立地を促進する制度


  2. 用途制限や容積率が変更される場合がある


  3. 建築計画がある場合は都市計画内容を確認する

都市再生歩行者経路協定とは


都市再生歩行者経路協定とは、都市再生緊急整備地域において、歩行者の安全性や利便性を向上させるために設けられる協定です。


歩行者デッキや地下通路、歩行者専用通路などの整備や維持管理について、土地所有者全員の合意により締結されます。


協定では、通路の管理方法だけでなく、清掃や防犯活動、植栽、照明設備、ベンチ、エスカレーターなどの維持管理についても定められることがあります。


協定で定められる主な内容

  • 歩行者経路の整備方法
  • 維持管理の方法
  • 清掃・防犯活動
  • 管理費用の負担
  • 違反した場合の措置

協定区域内の土地を購入する際の注意点


都市再生歩行者経路協定区域内の土地では、土地所有者は協定の内容に従って施設の整備や維持管理を行う必要があります。


また、管理費などの費用負担が発生する場合があり、協定違反に対して違約金などが定められているケースもあります。


さらに、この協定には承継効があるため、土地や建物を取得した新しい所有者にも協定の効力が引き継がれます。


承継効とは、売買や相続などで所有者が変わっても、新しい所有者が従前の協定内容を引き継ぐ制度です。

  1. 協定区域内では管理義務や費用負担が生じる場合がある


  2. 協定内容は所有者が変わっても引き継がれる


  3. 重要事項説明では協定の内容を必ず確認・説明する

退避経路協定・退避施設協定・管理協定とは


都市再生緊急整備地域では、大規模地震などの災害発生時に、多くの人が安全に避難できるよう、土地所有者などが協定を締結できる制度が設けられています。


これが「退避経路協定」「退避施設協定」「管理協定」です。いずれも都市再生特別措置法に基づく制度であり、協定区域内の土地や建物を取得した場合は、その内容を引き継ぐことになります。


  1. 災害時の避難経路や避難施設を確保するための制度


  2. 都市再生緊急整備地域内で締結される協定


  3. 新たな所有者にも協定の効力が引き継がれる(承継効)

退避経路協定とは


退避経路協定とは、大規模地震などが発生した際に、多数の滞在者や通行者が安全に避難できる経路を確保するための協定です。


協定では、避難経路となる通路の整備方法や維持管理、管理費用の負担などが定められています。


協定区域内の土地所有者は、その内容に従って避難経路を維持・管理する必要があります。


退避経路協定で定められる主な内容

  • 避難経路の整備方法
  • 維持管理の方法
  • 管理費用の負担
  • 協定違反時の措置

退避施設協定とは


退避施設協定は、大規模地震などの災害時に、一時的な避難場所となる建築物やスペースを確保するための協定です。


オフィスビルや商業施設などの一部を退避施設として利用する場合、その整備や管理方法について土地所有者などが協定を締結します。


協定区域内の所有者は、協定内容に基づいて施設を管理する義務を負います。


退避施設協定も公告後は承継効が生じるため、不動産を購入した新しい所有者にも協定内容が引き継がれます。

管理協定とは


管理協定は、災害時に必要となる食料・飲料水・毛布などの備蓄物資を保管する倉庫について、その管理方法を定める協定です。


地方公共団体が備蓄倉庫を管理することや、施設の維持管理方法などが定められます。


こちらも公告後は新たな所有者に効力が及ぶため、売買の際には協定内容の確認が必要です。


3つの協定の違い

協定目的
退避経路協定避難経路の確保
退避施設協定避難スペースの確保
管理協定備蓄倉庫・備蓄物資の管理

非常用電気等供給施設協定とは


非常用電気等供給施設協定は、災害発生時でも建物へ電気や熱などのエネルギーを継続して供給するための協定です。


発電設備やボイラー、電力線、熱導管などを対象として、施設の整備・維持管理・災害時の運用方法などを定めます。


この協定にも承継効があり、対象不動産を取得した新たな所有者も協定内容に従う必要があります。


都市部の大規模再開発地区や高層ビル街などで指定されることが多く、一般的な住宅地で該当するケースは多くありません。

個別利用区とは


個別利用区とは、市街地再開発事業において、既存建築物を活用しながら再開発を進めるための制度です。


従来は、既存建物を残して再開発を行うには関係権利者全員の同意が必要でした。しかし、個別利用区制度により、一定の条件を満たせば建物を存続させながら効率的な再開発を進めることが可能となりました。


そのため、既存建築物を有効活用しつつ、低未利用地を集約して都市機能を高めることができます。


  1. 既存建築物を活用しながら再開発を進める制度


  2. 土地の有効利用と都市機能の向上を目的としている


  3. 一般的な住宅売買で該当するケースは少ない

重要事項説明で調査・説明すべきポイント


都市再生特別措置法に関する制限は、すべての不動産に適用されるわけではありません。しかし、対象区域内の土地や建物を売買する場合は、宅地建物取引業者による調査と重要事項説明が必要になります。


特に、届出義務や協定による管理義務などは、買主が不動産を取得した後にも影響するため、事前に十分説明しておくことが重要です。


重要事項説明で確認する主な内容

  • 都市再生特別措置法の対象区域に該当するか
  • 立地適正化計画区域内かどうか
  • 居住誘導区域・都市機能誘導区域の内外
  • 届出義務の有無
  • 協定区域内の場合は協定内容と承継効の有無
  • 建築や開発に影響する制限の有無

都市再生特別措置法の調査方法


都市再生特別措置法に該当するかどうかは、市町村や国の公表資料で確認します。


近年は多くの自治体が都市計画情報をインターネットで公開しているため、都市計画図や立地適正化計画図を利用して調査できます。


調査先は自治体によって異なります。不明な場合は、市町村の都市計画課やまちづくり担当課へ確認すると確実です。

主な調査先は次のとおりです。


  • 市町村の都市計画課・都市整備課
  • 自治体が公開している都市計画図・GIS
  • 立地適正化計画(市町村ホームページ)
  • 国土交通省「立地適正化計画作成市町村一覧」
  • 内閣府「都市再生緊急整備地域」

実務上、確認することが多い区域


重要事項説明で都市再生特別措置法が問題となるケースの多くは、立地適正化計画区域に関するものです。


一方で、都市再生歩行者経路協定や退避施設協定、非常用電気等供給施設協定などは、大都市の再開発地区で指定されることが多く、一般的な住宅取引で該当するケースはそれほど多くありません。


  1. 住宅売買では「立地適正化計画区域」の確認が最も重要


  2. 再開発地区では各種協定区域に該当しないか確認する


  3. 該当する場合は制限内容まで調査して説明する

都市再生特別措置法に関する重要事項説明のまとめ


都市再生特別措置法は、都市の再開発やコンパクトシティの実現、防災機能の強化などを目的とした法律です。


重要事項説明では、売買対象となる不動産が都市再生特別措置法の対象区域に該当するかを調査し、届出義務や協定による制限、承継効の有無などを買主へ説明する必要があります。


特に住宅売買では、立地適正化計画区域・居住誘導区域・都市機能誘導区域への該当の有無を確認することが重要です。また、大規模な再開発区域では、歩行者経路協定や退避施設協定などの各種協定区域に指定されている場合もあるため、併せて確認しましょう。


この記事のポイント

  • 都市再生特別措置法は都市再生・防災・コンパクトシティを推進するための法律
  • 重要事項説明では対象区域に該当するかを調査する
  • 住宅取引では立地適正化計画区域の確認が特に重要
  • 協定区域では管理義務や承継効がある場合がある
  • 調査は自治体・国土交通省・内閣府の資料を活用する

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