新聞を取らない世帯が相変わらず増えています。
しかし新聞が各世帯に配られていた時代よりも、今現在の方が一人の人間が取得する情報量は圧倒的に増えています。
これはインターネットがもたらした、便利な時代の現象の際たるもので、どこにいても必要な情報の大部分を入手することができることの現れです。
昔は新聞を読むのがビジネスマンとしての教養的な部分がありましたが、今や新聞を読んでいると、のんびりしているようにすら見えてしまう時代なのです。
新聞と同じで、街の電気屋さんなんかにも同じ現象が起きています。
昔は、そこで売られている商品が、他でいくらで売っているか調べに行かないと分からなかったことが、今は価格.comやAmazonなどで家電の値段は一目瞭然なので、価格.comで最安値をチェックして、安いところで買うのが普通になってきています。
流通コストや広告コスト、人件費に至るまでインターネットが普及することで、コストダウンが図られているのです。
Contents
不動産・住宅業界にも同じ現象が起きている
同じことが不動産や住宅業界にも起こっています。住宅は現場で造る部分がほとんどなので、完成品を仕入れて、そのまま使える家電のように仕様が統一されているわけではありません。
ですから、住宅は家電より価格比較するのは難しいです。
しかし、消費者である施主さんは外観や室内の仕上げ材等を見て、無意識のうちに比較し、取捨選択していると思います。
例えば、仕上げ材である室内ドアや床材や家具です。
これらが既製品の建材だと、値段はネットで出ています。
ですから、家電と同じように安いところで買いたいと思うのが普通です。
大きい部材だと、キッチンやユニットバスのみをネットで購入される方も、見かけるようになりました。
そうすることで数十万円のコストダウンが図れる場合が多いからです。(建築業者によってはNO。材工別のデメリットは今回はスルーします。)
こういった個別の減少も踏まえて、 (安さを前面に打ち出している)が全国で急増しています。
[ad#co-1]
ローコスト住宅の善し悪し
ネットの普及により、普通の建材で住宅を造っていると、自然とローコスト住宅会社になってしまう時代です。住宅会社と施主さんにローコスト住宅を造っている意識がなくても、簡単に他社と比較され競合するなら、それはローコスト住宅になります。
有限会社ヨシダクラフト一級建築士事務所さんより引用
価格が安いというのは、家を建てる側にとって確かにメリットかもしれません。
しかし、経営上は全く健全でない事は、歴史がそれを証明しています。
派手なテレビCMや宣伝を行い、客寄せしたとしても利益が伴わない会社は、近い将来に倒産もしくは撤退します。
そしてそんな会社は引用にもありますが、他社と変わらない建物を建て、企業としての独自性だとか、ポリシーと言ったものが無いのです。
そして順番に同じようなものをさらに安く売る会社が出てくるのです。
家電の様に全く同じものであれば、そうなるのは必然です。
価格を調べれるので、結果安い所へと流れていきます。
企業からすると悪循環で、消費者の立場からすると良い事かもしれません(倒産のリスクは付きまといますが)。
この流れから感じる事
ローコスト住宅が増えている、この流れは当面続くでしょう。そしてどこかの企業が倒産や撤退をしていく・・・。
自然の流れですが、そのスピードが情報化社会なので、昔に比べて早くなっていると考えられます。
そして私が考える恐ろしいコストダウンは、営業マンの不要な時代がやってきつつあるという、切ないコストダウンが起こるだろうと言う事です。
だってそうですよね?
部材の価格がわかるなら、どれくらいで家が建てれるかを推定することは難しくありません。
大したことが無い営業マンの知識程度であれば、ネットで完結出来てしまいます。
だんだんと、家にも営業マンにも価値が無くなっているのです。
逆に現場の職人さんや現場を管理する監督等の価値は高いものとなります。
その人たちがいないと、きちんとした建物が建たないんですから。
以前どこかで書きましたが、営業マンは建築や現場のプロでは無く、販売のプロです。
販売についてのノウハウには長けていますが、現場の納まりを正確に知っている人はほとんどいないでしょう。
販売のノウハウがネット上にあふれてくる以上、営業マンが要らなくなるのは必然です。
嘘か本当かわからない営業マンの言葉よりも、ネットの情報を見てお客さんが判断する(失敗するかもしれませんが)ことがスタンダードな時代になっているのです。
不動産屋もしかりです。保険屋さんもしかりです。
突然無くなったりはしないですが、その必要性は薄れていきます。
物件情報なんかはお客さんの方が良く知っていたりするので、間違いないでしょう。
これからの時代に必要な事
に尽きると思います。その会社にしかできない、その人にしかできない、そういった独自性と専門性が問われるようになるのです。
それが無ければ価格競争の末、同じものを安く売る、価格でしか勝負が出来ない会社となってしまうのです。
家を買ったり建てたりする側からすると、”安い方がいい”という方が多いと思いますが、この”安い方がいい”の中には、安全で安心であり品質が良いという、前提条件があります。
この前提条件をクリアすることが以下に難しい事なのかは、横浜のマンションの事件などをみればわかりますよね?
あれだけの大手が揃いも揃って、あの状況ですし、完全に氷山の一角の話ですから、” ”を手に入れるのは至難の業です。
「安かろう悪かろう」でよければいいですが、大抵の場合「安かろう悪かろう」を” ”と錯覚しているのがこれまでの現状です。
独自性の物を適正価格で販売していく事こそ、これからの不動産や住宅業界に求められるものでしょう。