豊洲の土壌汚染を巡り、東京都と東京ガスの間での売買契約において、売主である東京ガスの瑕疵担保責任の放棄を認めた内容について、問題が連日報道されている。

通常の売買契約では売主が瑕疵担保責任を負う・・・という内容の報道が今朝の日本テレビの特集で言われていましたが、非常に違和感を覚えました。

今回の件は売主が東京ガスという企業であり、土壌汚染もある程度あるであろう状況があったので、その処理についての協議は東京都と東京ガスの間で行われたのでしょう。

お互いの取り決めなので、問題にするのは違和感があります。

これはお互いの交渉での契約なので、それについて瑕疵担保責任を石原氏が免責する権限は無い・・・といった訴えについても劇場の舞台に無理やり引っ張り出された感を感じてしまいます。

また、そもそも、土壌汚染が〇〇程度あります・・・という調査と告知をすれば、瑕疵には当たらなくなるというのが私の認識です。

法的根拠と感情と政治のパフォーマンスとが入り混ざった複雑な状況ですが、不動産の実務に携わるものとして、地域的な慣行や慣習でズレた意見になるかもしれませんが、原理原則について考えてみたいと思います。(実際の売買契約書を見たわけではありませんので、推測を含みます)


瑕疵担保責任の定義とは

ポイント

瑕疵担保責任とは売買の目的物に瑕疵(その物が取引上普通に要求される品質が欠けていることなど、欠陥がある状態)があり、それが取引上要求される通常の注意をしても気付かぬものである場合に、売主が買主に対して負う責任をいいます。


買主は瑕疵があることを知った時から、1年以内ならば売主に対し、損害賠償の請求ができますし、また瑕疵のために契約の目的を達することができないときは、契約を解除することもできます。

そして、いずれの請求をする場合も売主に過失(瑕疵があるということを知らなかった)があることは要件ではありません。

したがって、あなたの場合、雨漏りという瑕疵があることを知った時から、1年以内であれば売主が雨漏りの瑕疵を知らなかった場合でも、雨漏りによって生じた損害の賠償を請求できますし、その雨漏りの原因が建物の重要な部分の欠陥に由来するもので、その欠陥を修繕することが事実上不可能な場合など、その瑕疵の存在によって売買契約の目的を達することができない場合は、売買契約そのものを解除することも可能です。

以上が原則ですが、反面、売主としては、自ら知りえない物件の瑕疵によって何年もの間にもわたって、買主から瑕疵担保責任の追求を受ける可能性があるとすれば困ったことになります。

例えば、売買契約後、長期間経ってから物件の瑕疵が見つかった場合でも、買主が瑕疵を見つけてから1年以内であれば責任追及を受けるとすれば、売主は非常に不安定な地位に置かれてしまいます。

そこで、通常では売買契約書の中で、売主の瑕疵担保責任を免除したり、あるいは責任追及できる期間を短縮していることが多いようです。

一般人同士の売買契約であれば、私の周辺地域の慣行としては、「売主は瑕疵担保責任は負わない」内容の売買契約しか見たことがありません。

また、土壌汚染やアスベストなどについては、専門の調査をし告知をする事もあります。

現在の不動産業者の説明義務で言いますと、調査をしたかどうか?という告知をする内容になっています。

調査が義務ではないんですね。

仮に調査をしている場合は、その調査内容について相手に告知をすれば、隠れた瑕疵ではなくなります(知っている事実になる)ので、瑕疵担保責任とは異なり、お互いの協議によって定めることになります。

今回の豊洲の報道では、
「売主が土壌汚染の対策費用を出すのが当たり前」

「売主が瑕疵担保責任を負うべき」

「石原氏が瑕疵担保責任を免責する権限は無い」
といった部分が強調され、責任を取らせるといった流れになっていると感じます。

土壌汚染は瑕疵担保責任?

当時、東京ガス・東京都が土壌について調査をし、記録が提示されているのであれば、瑕疵には当たらないと考えますが、この解釈は間違っているのかしら?

もしそうであれば、瑕疵担保責任云々で議論するのはお門違いですよね。

「全く調査がされず、調査はしていない」という事であれば、期限を定めて瑕疵担保責任を問えばいいのですが・・・。

現実はいくら何でも調査と数値の公表がされていたはずなので、瑕疵には当たらないはずです。

売買契約の中で、どう取り扱うかを定め、謳うべき内容です。

そしてその処理は東京都が行う・・・という内容の売買契約なので、何の問題もないでしょう。

問題とされているのは、そんな契約内容を、石原氏が独断で行う権限があるのか?独断で行い、東京都に損失を与えたから損害賠償を・・・的な発想です。

売主が土壌汚染の処理費用は負担すべき?

これは瑕疵に当たらないのであれば、お互いの取り決めであるはずです。

ある一定の取り決めの中で、東京ガスにその費用を負担してもらう事も可能でしょうし、「一切東京ガスは費用を負担しない」というのもアリです。

お互いが了承すれば何ら問題ありません。

やはり問題とされているのは、そんな契約内容を、石原氏が独断で行う権限があるのか?独断で行い、東京都に損失を与えたから損害賠償を・・・という事のようです。

石原氏が責任を負う必要はある?

行政のトップとして、GOを掛けた責任はあるでしょう。

しかし、その売買契約の内容について

  • 独断で決定したのか?

  • 議会の承認や予算についての承認は?
  • という事を無視して、責任を追及しようとしているように見受けます。

    仮に売買契約の内容について、東京都議会が承認しているのであれば、当然都議会にも責任があります。

    売買契約についての予算の承認を都議会がしたのであれば、当然都議会にも責任があると言えます。

    報道されているイメージでは、「水面下で石原氏らが勝手に決め、裏で巨額のお金が動いたのでは?」という印象を受けます。

    現段階では限りなくクロのグレーな状況、というイメージになっていると感じるのは私だけでしょうか?

    はっきりした事実が分かっていない現状で、有罪チックな報道は・・・。

    石原氏をかばうわけではありませんが、仮にこの売買について仲介業者として仲介したとすると、石原氏に責任を転嫁するのは気の毒な気がします。

    形の上では、東京都の総意(議会の承認)を得た売買契約なのでしょうから、それを1人もしくは数人にしわ寄せを持っていくのはフェアじゃないと感じます。

    ただ全く責任が無いとは言いませんよ?

    号令を掛けたのは確かですから。

    現段階では、号令をかけて、議会が承認し、後日問題が生じた・・・といった形です。

    皆さん、自分の仕事に置き換えてみてください。

    10年以上前の取り決めで、仕事上問題が発生したらどのように対処しますか?

    当時の社長に責任を追及しますか?

    社長だけの判断なら責任を追及できるかもしれません。

    しかし実務上は、責任の追及は究明とは別に、現実の対処案を考え速やかに実行することの方が先では無いでしょうか?

    また、責任を追及するならば、猪瀬氏や舛添氏など、歴代関わってきた知事にも責任があるのでは?

    何となく、怒りの矛先や問題のすり替えをしているように感じてしまうのは私だけ?

    まとめ

    不動産の仕事に携わっていると、昔にきちんとした仕事がされておらず、結果現在の所有者や関係者が訂正や処理を行い、取引を行う事が多々あります。

    なぜそんな事になっているのか、理解不能な事も多々存在します。

    だからと言って、当時に関わった人に責任を追及するかというと、現実的には不可能なケースの方が多いです。

    お役所がやっている事にも間違いは当然あります。

    すぐに訂正や改善がされる事でもありません。

    しかし、我々がそれに携わったなら、訂正・改善をし、問題ないようにしていくのが仕事です。

    今回の豊洲については、責任云々が先行し、現場の人たちが取り残されているように感じます。

    もちろん、水面下で必死で動いている人達がいるはずなので、どちらかというと、解決に動いている姿や、現実に困っている人達にスポットを当てるのが正しいのではないでしょうか?

    視聴率は取れないかもしれませんし、選挙にも有利に働かないかもしれません。

    責任こそ水面下で追及し、後日公表すればよいはずです。

    一日も早く、グランドラインを定め、解決することこそが先決でしょう。

    小池さんを好きですが、あまりにもパフォーマンスがうますぎて、わる~い営業マンに見える瞬間があります。

    都民ファースト万歳!ですが、責任追及はあなたの仕事ではないような気がします。

    築地の方の為にも、時間を掛けすぎない解決を目指してほしいですね。