分譲地などでは地盤改良が必要なケースが、比較的存在します。

特に不動産業者が売主の場合は瑕疵担保責任を負う義務があるので、、その責任を問われるケースが存在します。

ここでは瑕疵にあたるとされた判例をご紹介し、一般ユーザーにも瑕疵について知って頂き、ご自身がヤラレてしまっていないか、気づかないうちに当たり前に大金を払ってしまっていないか参考にして頂き、これから、今まさにという方にも参考にして頂ければと思います。

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軟弱地盤についての売主の瑕疵担保責任が問われた事例

宅地分護業者が宅地分譲した土地のパンフ レットに地盤改良が必要となる可能性がある旨を記載して販売した宅地
(名古屋高裁・判決平成22年1.20 ウエストロー・ジャパンより)

紛争の内容

  1. 売主であるY公社は,XlおよぴX2 に対して、平成16年12月22日に本件⼟地を宅地分譲⽅式によって代金2226万円で販売し、X1およびX2は共同して本件建物を建築した。(本件土地の持分はX1が100分の70、X2 が100分の10)。

  2. ⼟地の売買契約に先立ち、Y公社からX1 に交付されたパンフレットには、「造成地のため地盤調査後、地盤改良が必要となる場合があります。」と の記栽 (以下 「本件記載」という。)があった。

  3. 本件土地について、平成18年5月および10月に、それぞれ違う詞査会社がSS試験 (スウェーデン式サウンデインダ試験)を実施し、地盤の長期地耐カ等を詞査 した。
    その結果、 建物の荷重によって本件土地各部の沈下量が異なり 、不均等に沈下する不同沈下の現象が発⽣し、建物が傾斜したり、各部が歪んで損傷する可能性が高く、これを避けるためには地盤改良⼯事を実施することが必要であるとの調査結果が出た。
    そこで複数ある地盤改良⼯法のうち、 より費用が廉価な改良工法で地盤改良を実施することにし、その費用252万円を支払った。

  4. そこでX1 およびX2は売主であるY公社に対し、本件上地の地盤の軟弱性等に関する説朋義務違反または瑕疵担保責任に基づき 、上記地盤改良工事費用252万円および遅延損害⾦を⽀払うよう求め、訴えを提起した。

当事者らの言い分

(買主Xらの言い分)
説明義務違反ついて
  1. 本件記載を担当者が読み上げたということはない。
  2. 仮に本件記載を読み上げられていたとしても、本件記載程度の説朋では⼀般⼈に地盤調査を行わせることは不合理である。

瑕疵担保責任について
  1. 買主X1は建築については一般的な知識しかなく、造成前の本件⼟地の状況も知らなかったから本件土地が軟弱である可能性が高いと認識し、その可能性を甘受して本件土地を購入したことはなかった。
  2. 仮に本件記載を読み上げられていたとしても、本件土地の地盤の強度について具体的な説明がなかったから、本件土地が軟弱である可能性が高いと認識し、その可能性を甘受して本件土地を購入したことはなかった。

(売主Y公社の⾔い分)
説朋義務違反について
  1. 本件⼟地は分譲団地の⼀部であり、本件⼟地を除く36区画で地盤改良⼯事が⾏われていたため、売主としては、買主の責任において買受後に地盤調査を⾏い、その結果次第では地盤改良を要する場合があることを買受希望者に告知し、この点を了解のうえ土地を購入してもらう趣旨で、本件記載がなされている。

  2. 売買契約において本件記載を一切見ないで本件土地を購入したなどという事は一般常識からしてもあり得ないし、⼀般に宅地の価値は地盤の強度だけでは決まらず、多少の地盤改良⼯事費⽤を要しても、近隣の居住環境や他の利便性等も検討し、それ相応の価格であれば購入することはあり得ることであり、本件記載に対する買主X1の反応も上記の通りであったと考えられる。

瑕疵担保責任について
  1. 地盤調査結果は地盤改良⼯事の必要性を何ら説朋するものではないから、地盤の強度不足という瑕疵は存在しない。

本事例の間題点
  1. 本件⼟地の売買時の説明として本件記載だけで地盤改良⼯事が必要となる可能性の有無が判断できたか。
  2. 本件記載があるのに地盤が軟弱であったことは隠れた瑕疵と言えるか。

本事例の結末

原審は、売主であるY公社の勝訴。
その理由として

①買主X1は、売主であるY公社の担当者から本件記載を読み上げて説朋され、本件⼟地が造成地であることを知っており代金2,226万円を高額と考えていなかったことが窺われるから、本件⼟地の購入の適杏を判断するのに必要な情報が提供されていた旨認定して、売主Y公社の説明義務違反を否定し、

②本件⼟地の地盤は強度が不⼗分といえなくないが、買主X1は軟弱地盤である可能性が⾼いことを⽢受して本件⼟地を購入しており、本件⼟地の地盤強度は、買主X1の想定範囲内にあったと認定して瑕疵担保責任を杏定している。

しかし、本裁判例では 地盤が軟弱であり地盤改良の必要性があることを肯定した上で、買主X1が本件記載に気付いてその意昧を確認しなかつた点については注意⼒に⽋ける点が あると認めながらも、本件記載の内容はあいまいだとして、本件記載の内容を問題とした。

その結果、
①本件記載には地盤改良の必要性が高いことを窺わせる具体的記載もないし、また、

②「買い受け後、買主において地盤調査をしてください。」等の買主に地盤調査を依頼し、あるいはこれを義務付ける旨や、地盤改良が必要となった場合の費用が買主負担となるから、販売価格が定額となっている旨や瑕疵担保に基づく請求権の放棄を意味する旨の記載もないことを理由として、買主Xらが本件土地に地盤改良を要するような歌詞があることを知らなかったことに過失があるとは言えないとして、売主の瑕疵担保責任を認めた。(瑕疵担保責任を認めたので説明義務違反については判断しなかった)

この事例から学ぶこと


この事例の間題点についての判断
  1. 本件⼟地の売買時の説明として本件記載だけで地盤改良⼯事が必要となる可能性の有無が判断できたか。
  2. ・・・一般ユーザーには判断しにくい、できない、という判断です。
  3. 本件記載があるのに地盤が軟弱であったことは隠れた瑕疵と言えるか。
  4. ・・・パンフレットの記載程度ではダメであり、瑕疵であるという判断です。
不動産業者は、一定のリスクについての説明が契約書やパンフレットに記載されていたとしても、契約締結時に保有している情報に基づき、できるだけ具体的に説明する必要があることがわかる。

また、売却後であっても追加で費用を支出する可能性がある事項については、契約締結時に買主が理解しているかを確認する必要があるといえる。

要は、重要事項なり契約書なりに、買主負担である旨や具体的な記載をすればよいという事です。

今回の事例の不動産業者は、パンフレットで軟弱地盤であることを書いているので、”瑕疵ではなく見えているものになっている”と判断したようです。

確かに”瑕疵の部分を書く事で、瑕疵にならなくなる”という常套手段が取られているようですが、より具体的に買主側のデメリットを説明しなければ、不動産業者に落ち度が発生する可能性が高いと示す判例ですね。

買った土地が軟弱地盤・・・売主や仲介業者に責任追及できるか?

家を建てるために土地を購入したが、建築業者から、軟弱地盤なので地盤改良費が結構掛かりますと言われた。

軟弱地盤との説明は、売主からも仲介業者からも全く無かったが、地盤改良費用を払ってもらうことが出来るのか?

本件の事例等を参考に、考えてみます。

売主への責任追及は?

家が建てられない程の軟弱地盤は、物件の瑕疵に当たるとの判例がありますので、軟弱の程度によっては、瑕疵担保責任に基づいて、地盤改良費用を請求することが出来ます。

瑕疵担保責任は、無過失責任なので、売主が軟弱地盤であるかどうかを知らなかったとしても請求することが出来ます。

ただし、売主の瑕疵担保責任を免責する特約がついていた場合は、売主が軟弱地盤であることを知っていながら隠していた時を除いて、責任追及は出来ません。

仲介業者への責任追及は?

仲介業者は、軟弱地盤であるかどうか調査する義務を負っていません。つまり説明の無かったことに対して、責任追及することは困難です。

しかし、仲介業者がその土地を軟弱地盤だと知っていた場合には、買主へ告知する義務がありますので、それを仲介業者が怠っていた場合、責任追及は可能です。

※売主も、仲介業者も、地盤調査をする義務までは負っていません。買主としては、売りに出ている物件が、必ずしも地盤調査をしているとは限らないことに留意しましょう。

地盤調査を行っていない場合、土地が軟弱である可能性は常に内在しており、買主はそれを承知で、買うか、買わないかを決断する必要があります。

もし、不確定な物件を買うのが嫌な場合は、既に地盤調査が終わり、地盤保証が為されている物件を選ぶか、売買契約をする前に、地盤調査を売主側で行って欲しい旨の交渉をするのが良いかもしれません。

新居浜市近郊の売買における慣行では、売主の瑕疵担保責任の免責の特約がされる場合がほとんどであり、売主(一般の方)に責任を問う事が出来ない契約内容になっていますが、仲介する不動産業者は(調査する義務はないが)、地盤改良等が必要になる可能性がある事を説明しておくのが良心的と言えるでしょう。

また、不動産業者が売主の場合は、法的に2年以上の瑕疵担保責任を負う義務がありますので、この場合は地盤改良などの費用について請求できます。

2年以下の期間を定めていたり、瑕疵担保責任の免責についての特約は、売主が不動産業者の場合は無効になりますので、この点はぜひ知っておいてください。

例外として今回の判例からみて、、「地盤改良の可能性がある」、「その場合は買主にて対処する」等の具体的説明がある場合は、瑕疵に当たらなくなる(説明があるのでわかっている事=瑕疵ではない)ので、買主がそれを承知で買うか買わないか?という判断をすることになります。

地盤改良や軟弱地盤の問題は、特に新規の造成分譲地などでは、比較的起こりやすいトラブルだと思いますので、ユーザーの皆さんは泣き寝入りする前に専門家に相談してみましょう。