取引ベースの不動産価格指数1の公表により、価格動向の把握が以前より早期に可能となり、一部で価格下落が確認された。

株価とJ-REIT価格はともに頭打ちとなっており、マイナス金利政策の導入による一時的なJ-REIT価格の上昇も、必ずしも不動産投資市場への資金流入を示唆するものではなかった。


不動産価格データ

まず、不動産価格の現状を公表データで確認する。

不動産価格に関しては、従来から鑑定評価額ベースの価格指数、および投資家アンケートベースの期待利回りが公表されているが、これらは実際の取引動向に遅行する性質があるため、現在のところ価格上昇および利回りの低下が継続している。

また、2012 年から、実際の取引ベースの価格指数として中古マンション価格指数(リピートセー
ルス法)が公表されているが、これについても現在まで価格下落は確認されていない。

マンション市場では、実需による取得が大半を占めており、取得者は今後の価格見通しよりも取得条
件を重視する傾向がある。

当面、低金利のもと有利な取得条件が続くとみられ、マンション市場での価格下落はオフィスなどの不動産投資市場に遅れると考えられる。

不動産取引件数および金額

不動産投資市場では、取引件数が先行的に変化し、不動産価格動向に先行するとみられている。

実際、取引件数は 1999 年や 2006 年に、不動産価格サイクルのピークよりも1年以上早く頭打ちし
ていた。

一般的な不動産取引では、売却希望価格が提示される中、市況回復時には、買い付けが増加し、取引増加に伴って新たに高値の物件が売り出され、一方、市況悪化時には、買い付けが減少し、取引縮小に伴って既存の売却希望価格の引き下げが進む。

また、サイクルのピーク時には、取引金額の拡大が顕著になる傾向もある。

実際、過去のサイクルのピークでは、リスク許容度が拡大した機関投資家による大規模投資や、財務基盤が改善した不動産会社による大規模再開発プロジェクトなど、様々な象徴的な投資が実施されてきた。

2015 年は、取引件数および金額が減少し、ピークアウトを示唆する典型的な形となった。

市場関係者の間では、取引縮小の原因は売却物件の不足にあり、引き続き投資家の買い意欲は強い
とのコメントが聞かれている。

しかし、客観的に取引データをみると、明らかに不動産投資市場の活力は失われつつあるといえる。