農地を売却する際には、かなりの注意が必要です。

それは農地法を含め、クリアしなければいけない関連法規が多いからです。

ここでは売却ができる農地(第3者に農地以外の形状にすることを前提として)であることを前提に、基本的に新居浜市の関係法規の運用に沿って解説します。

そもそも調整区域の農地や、農振地域と呼ばれる地域は一般住宅を建てる為の売買は規制されていますので、今回の例は市街化区域もしくは非線引き地域に該当するものとして認識下さい。
その辺りの調査は一般の方には中々難易度が高く、不動産業者や行政書士等のプロに調査してもらうのが正解です。

農地を売却する時の大まかな流れは

  1. まず売却可能な農地かどうか?の調査


  2. 関係法律に則って、最良の売却プランの考慮


  3. 売却開始

といった順番です。

本当に大切なのは2の最良プランの考慮になります。

あなたにとって一番最善の販売方法を考え、提案する事が不動産業者の力量と言えるでしょう。

それでも「自分の土地を売るのに何の問題がある?!」と言われる方もおられるので、よくある一例と共にご紹介します。

農地の売却に関係する法律とは

農地の売却に関係する法律を簡単に列挙してみます。
  1. 農地法

  2. 都市計画法

  3. 建築基準法

  4. 宅地建物取引業法

  5. 埋蔵文化財保護法

この5つの法律が真っ先にクリアしなければいけない法律です。

では順番に見ていきましょう。

ここでは、売却したい土地を新居浜市の基準で、開発許可の基準面積は1,000㎡(地域によっては2,000㎡等で規定されています)とします。

地目:田 地積:1200㎡ 用途地域:指定なし(非線引き) 目的:個人住宅・宅地分譲・建売分譲
下記の図のように区画して売却する場合の2パターンについて、という前提でお話しします。

パターン1・・・個人が個人に繰り返し売却

パターン2・・・個人が不動産業者などに一括で売却

農地法

基本的に農地の売買には、農地法の許可及び届け出が必要です。

市街化区域の農地については届け出で大丈夫なので簡単です。

市街化調整区域及び非線引き区域については、県知事の許可が必要になります。

農地 ⇒ 農地・・・農地法第3条の許可

農地 ⇒ 宅地・・・農地法第4条・及び第5条の許可
細かい部分については改めてご紹介したいと思いますが、基本的には農地法の3・4・5条のいずれかの許可が必要です。

また、宅地分譲や建売分譲の様な業としての目的ではなく、個人が個人住宅を建てるというようなケースでは、1件につき概ね500㎡という面積の制限も出てきます。

今回の例パターン1でいうと、最初に農地法第5条の申請が3回必要です。

個人 ⇒ 個人を3回繰り返す事になります。

そしてその申請の目的が果たされてから(3件目の区画が売却され、建築が完了後)、一定期間を経た後出なければ、パターン1の区画4については(後に出てくる開発許可の関係で)農地法の許可がなされません。

時間にして最短でも約1年半、場合によってはずっと売れないと言うリスクが付きまといます。

つまり一括で売却しようとすると、自然と相手先が不動産業者などに限定されてくるのです。

パターン2については不動産業者などが一括で買う前提ですが、やはり区画6については別事業(宅地分譲・建売分譲以外)である必要があります。

が、その問題は業者側で解決する問題なので、売主さんにはリスクは及びません。

都市計画法

今回の設定が1200㎡なので、一回の売却で第3者に転売するとなると、農地法第3条や資材置き場、駐車場経営といった目的ではなく、家や店舗を建てる目的での売買となると、基本的には都市計画法における、開発許可が必要となります。

開発許可を受けれる要件が当然存在し、該当しない場合は一括での売却は出来ません。

幹線道路まで4mの幅員が必要であったり、工事の内容や細かい部分について周辺の同意が必要であったり、かなり大変です。

該当しない場合は切り売りをしたりしなければならず、1期・2期といった形での売却になります。

パターン1の図における、区画4が1,000㎡を超える部分に該当するので、この区画4については基本的には何もできません。

「3件目の区画が売却され、建築が完了後から一定期間」は農地として置いておく必要があります。

この一定期間は地域によって基準があるので、その都度確認が必要です。

パターン2についてはわざと区画を6区画(売りやすい面積に整えた)にし、位置指定道路をつくる事によって、不動産業者が販売する形得お取っていますが、不動産業者であれば、区画割はどちらでも可能です。

そして先ほどと同じで、区画6については別事業(宅地分譲・建売分譲以外)である必要がありますが、その問題は業者側で解決する問題なので、売主さんにはリスクは及びません。

建築基準法

家を建てるには1件の家につき、建築基準法上の道路に幅員が2m以上接道していなければなりません。

単純に5件家を建てようとすると、10m幅の接道が必要になります。

これでは分譲地等の場合、非効率なので、パターン2のように、位置指定道路や開発道路といった、建築基準法上の道路をつくる事により4mや6mの幅員の道路で、建築が可能になります。

いずれにせよ、家を建てることが可能になるようにしなければいけません。

パターン1では、区画1・区画3が4mの進入道路を使用し建築確認を取ります。区画2については道路に直接接道しているので問題ありません。

宅地建物取引業法

宅地分譲や建売分譲を行うには宅地建物取引業の免許が必要です。

また、個人の方が反復継続して(運用基準では年間2回)、不動産の取引を行う際にも宅地建物取引業の免許が必要ですし、農地法でも引っかかるケースもあります。

現実的には罰せられることが無いので(最大50万円の罰金の規定があるが・・・)、パターン1でやり飛ばす不動産業者もいます。

なので、個人の方の場合はそこまで深く気にする必要はない項目ですが、念のため^^

埋蔵文化財保護法

埋蔵文化財保護法の指定地域内の土地であれば、建築などを行う際には前もって、試掘調査を行う必要があります。

文化財がある確率が高い地域が、範囲として設定されているので、当たる確率は結構あります。

私も文化財が出てきたことがあります。

はっきり言って、”人生が終わった”と思いました。

文化財が試掘調査で出てくると、その後はお役所の言いなりです。

最悪、なぜだか、自腹で文化財を掘り起こさなければいけません。

リスク負担の問題もあるので、埋蔵文化財保護法の指定地域の場合は要注意です。

パターン1(仲介)・パターン2(買取)で売却するときのメリット・デメリット

こちらについてのメリットは、”手取りの金額がパターン2に比べて高くなる”と言う事です。

手取りが多くなることは一番大切な事ですが、今回の例の農地の場合はかなりのデメリットがあります。
  • 売れにくい
  • パターン2の様に位置指定道路や開発道路は困難である為、区画の変更の柔軟性に乏しく、売却しにくい面積と総額になってしまう。

    売却しやすい総額帯と、単価を設定することが重要なのですが、面積が大きくなると単価を下げる事になります。

  • 仲介手数料などの経費が余分にかかる
  • 仲介手数料は丸々に余分にかかります。

    農地転用の費用も余分にかかります。2件で済むところが4件必要になります。

    造成費用も最低2回に分けて行わなければいけないので、コストアップになります。

    などなど、その他の費用についても、件数分余分に費用が掛かったりするので、要注意です。
  • 売却完了までに時間が掛かりすぎる
  • 3件のお客さんを見つけてきて、且つそこから一定期間何もできないので、最低2年程度は覚悟しなければいけない。

    その間に周辺で安い土地が出てくれば値下げをしなければならず、売れなくなるリスクが付きまといます。

    何が恐ろしいかというと、これが一番怖いです。

    後だしじゃんけんをされると、勝負にならないからです。

    現在の新居浜市内では、プロの不動産業者が完売出来ていない土地がいくらでもあります。

    そのリスクを背負う事になるので、時節柄、このようなケースではどちらが得なのかは博打の側面があります。

    パターン2については不動産業者等が購入するケースなので、リスクやデメリットの部分はすべて解消されます。

    しかしいかんせん、手取り価格は下がってしまいます。

    この2択は難しい所ですが、安易に手取り金額だけで比較できなくなっているのが実情です。

    それこそTPOによって選択と熟慮が必要でしょう。

    以下の記事などを参考にして下さい。