宅地建物取引士の試験で出てくる「復代理」「無権代理」「表見代理」について理解しましょう。

復代理とは?

代理人が自己の権限内の行為を行わせる為、さらに代理人を選任した場合、選任された代理人を復代理人と言います。

復代理人は代理人が選任した代理人であるが、あくまで本人の代理人である。

つまり復代理人がした行為の効果は直接本人に帰属するのです。

復代理人の権限は?

復代理人の代理権は代理人の代理権に基づくものであり、復代理人の代理権の範囲は、代理人の代理権の範囲を超えることは出来ない。

従って代理人の代理権が消滅すれば原則として復代理権は消滅する。

また復代理人は本人に対して代理人と同一の権利義務を有する。

この結果本人は復代理人を監督することができるし、一方復代理人も本人に対して建て替え費用の請求や代理人と契約した報酬の請求をすることができる。

復任権(復代理人を選任する権限)とは?

どういう場合に復代理人を選任できるか, また復代理人の行為によって本人 に損害を与えた場合,代理人はどこまで責任を負うかという問題である。

追記部分

無権代理について理解しよう

代理人として行為した者が,その行為について代理権を有しない場合を無権代理 という。

無権代理行為の効果は?

無権代理人の行為の効果は,本人に帰属しない(効果不帰属)。

BがAの代理人としてCと契約しても,その効果はAに帰属しない。

本人の追認権

  1. 無権代理行為でも必ずしも本人に不利益なものとは限らない。

  2. そこで, 本人は無権代理行為を追認することができる(本人に効果が帰属する)。

    追認すると,契約のときに「さかのぼって」効力を生ずる。

  3. 本人は無権代理行為の追認を拒絶することもできる。

  4. この場合,無権代理 行為の本人への効果不帰属(無効)が確定する。

  5. 追認は,相手方又は無権代理人のいずれに対して行ってもよい。

ただし無権代理人に対して追認したときは,相手方が追認の事実を知るまでは,相手方に対して追認の効果を主張することができない。

なお,黙示の追認も認められる(本人が無権代理人の締結した契約の履行 を相手方に請求するなど)。

無権代理の相手方の権利

権代理の相手方の権利 無権代理は追認があるまでは本人に効果が帰属せず,無権代理入と取引した 相手方は,不安定な立場に立たされる。

そこで,相手方にこうした不安定な状態から逃れる手段を与えることにした。

  1. 追認の催告権(114条)

  2. 相手方は,本入に対して,相当の期間を定めて,「追認するか否か」を確 答するように催告をすることができる(相手方は悪意でも催告できる)。

    本人が,その期間内に追認する旨を確答しないときは,追認を「拒絶したもの」とみなされる(無権代理行為の無効が確定する)。
  3. 取消権(115条)

  4. 善意(過失はあってもよい)の相手方は,無権代理人との契約を取り消すことができる。

    取り消すことによって,相手方は契約の拘束から離脱することができる。ただし,本人の追認があるまでの間に限る。

  5. 無権代理人への責任追及(117条)

善意・無過失の相手方は無権代理人に対して,契約の履行の請求,又は 損害賠償の請求ができる

なお無権代理人が制限行為能力者のときは,無権代理入としての責任を追及できない。

無権代理行為と相続

  1. 本人が無権代理人を相続した場合

  2. 相続によりAはBの地位を引き継ぐが,これによって無権代理行 為が当然に有効になるものではなく,Aは追認を拒絶できる。

    なお相手方が善意無過失であるため,無権代理人が履行又は損害賠償責任を負う場合,本人は無権代理行為の追認を拒絶しても,これらの責任を免れることはできない(責任を免れるためには,相続放棄をすれば良い)。

  3. 無権代理人が本人を単独相続した場合

相続によりBはAの地位を引き継ぐが,Bが,Aの地位によって追認を拒絶することは,信義則上許されない(無権代理は有効となる)。

※なお,無権代理人が本人を他の相続人とともに共同相続した場合,共同相続人全員が共同で追認しない限り,無権代理行為は有効とならない。

表見代理について理解しよう


表見代理とは

表見代理とは無権代理行為であっても,本人と無権代理人との間に特殊な関係があるため, 真正な代理関係があるように見える場合には,有効な代理行為が行われたのと同様の効果(本人への効果帰属)を認める制度である。

表見代理制度は,真正な代理人と信じて取引をした相手方を,本人の犠牲のもとに保護する制度なので,本人に非難されるべき事情があり,かつ,相手方に保護に値する事情がなければ成立しない。

本人側の帰責事由   
  1. 代理権授与表示(109条)
  2. 例:委任状を発行したが実際には代理権を与えていない無権代理であることにつき 善意かつ無過失であること

  3. 権限外の行為(110条)
  4. 例:代理入が与えられた代理権の権限外の行為をした

  5. 代理権消滅後(112条)

例:かって存在した代理権が消滅したにもかかわらず,代理行為をした

相手方の保護事由
無権代理につき善意かつ無過失である事

※代理権消滅後に代理権の範囲を越えて契約をしたような場合でも,表見代理は成立し得る(重畳適用一判例)。

表見代理の成立と効果

表見代理成立の効果

  1. 本人と相手方との関係
  2.   
    表見代理の効果は本人に及ぶ(本人に効果帰属)。

  3. 本人と無権代理人との関係

  4. 表見代理の成立により本人が損害を受けたときは,無権代理人に対して, 損害賠償を請求できる。

  5. 相手方と無権代理人との関係相手方は,本人への効果帰属を主張することができる。

また相手方は,これを無権代理行為として取り消し,または,無権代理 人の責任を追及することもできる。

※すなわち,表見代理も無権代理の一態様であり,また表見代理は相手方を保護する制度であるから,相手方は無権代理と表見代理を選択的に主張をすることができる(判例)。