宅地建物取引士の試験にはこの”能力”も高い頻度で出題があります。

民法上の能力とはどういう事でしょう?

3つの能力について理解しよう

  1. 権利能力
  2. 権利や義務の担い手となる資格を権利能力を言います。

    自然人は誰でも出征により権利能力を取得し、死亡によってのみ権利能力を失う。

    また、自然人以外で法律が特に権利能力を付与した団体を法人という。
  3. 意思能力
  4. 物を買えば(行為)代金を支払わなければ(結果)いけません。

    自分の行為がもたらす結果について正常な判断をし得る能力を意思能力と言います。

    幼児や酩酊者は意思能力にかけ、それ等の者が行った契約行為は当然無効です。

  5. 行為能力
  6. 一人で確定的に有効な取引をなしうる能力を行為能力といいます。

    民法は一定の者の行為能力を制限し、その制限行為能力者が単独で行った契約については、一定の範囲で取り消し権を認めており、制限行為能力者の財産や権利の保護を図っています。

民法が定める制限行為能力者とは?
未成年者
20歳に満たない者。ただし婚姻歴があるものを除く
成年被後見人
制震上の障害により事理を弁識する能力が欠ける状況にあるため、一定の者の請求により、家庭裁判所から後見開始の審判を受けた者
被保佐人
精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分なため、一定の者の請求により、家庭裁判所から保佐開始の審判を受けた者
被補助者
精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分なため、一定の者の請求により家庭裁判所から補助開始の審判を受けた者
※家庭裁判所に請求できる一定の者とは、本人や配偶者のほか、4親等以内の親族や検察官等である。
なお補助開始の審判のみ、本人以外の者が請求する場合に本人の同意が必要とされます。

不動産先生

難しく書きましたが、痴呆の方や未成年が騙されて高額な買い物の契約をしたりして財産を無くさないように、家庭裁判所で審判を受け、その契約を一定の範囲で取り消しができるという制度です。


一定の範囲で取り消し権


宅地建物取引士の試験ではこの制限行為能力者制度の出題が多いです。

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制限行為能力者の保護者

  • 制限行為能力者の保護者
  • 制限行為能力者にはそれぞれ行為能力を補うため保護者が付される。
    各保護者の名称と権限は以下の通りです。

    この表は必ず暗記です。×と△について覚えるようにしましょう。
    制限行為能力者保護者同意権取消権追認権代理権
    未成年者親権者又は未成年後見人
    成年被後見人親権者又は未成年後見人×
    被保佐人保佐人
    被補助人補助人
    ※▲は家庭裁判所の審判があった場合に認められる
    ※未成年者及び成年被後見人の保護者は法定代理人である。

    制限行為能力者の能力

    1. 未成年者
    2. 原則
      未成年者が法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は、取り消すことができる。

      不動産先生2

      保護者のみならず、未成年者本人も取り消すことができます。(他の制限行為能力者も同様です)


      ・・・過去出題あり
      例外・・・単独でできる行為
      a.単に権利を得、または義務を免れる行為

      例:負担の無い贈与を受けたり、借金を棒引きにしてもらう事・・・特になる行為なので単独でできる行為

      b.法定代理人から処分を許された財産の処分

      例:仕送りやお小遣いの消費など

      c.法定代理人から許可された営業に関する行為

      不動産先生2

      未成年者でも婚姻をすると成年に達したものとみなされます。=単独で法律行為を行う事が出来るようになります。


    3. 成年後見人
    4. 原則
      成年被後見人が行った法律行為は取り消すことができる。

      ※成年後見人は同意権を有しない。(成年後見人の同意を得て行った法律行為も取り消すことができる)
      例外
      日用品の購入その他日常生活に関する行為は、成年被後見人にも行う事が出来るので、取り消すことができない。
    5. 被保佐人
    6. 原則
      被保佐人は単独で法律行為を行う事ができる。
      例外
      日用品の購入その他日常生活に関する場合を除き、以下の行為を行う際は保佐人の同意を得なければいけません。

      ①元本を領収し、または利用する行為

      ②借財をし又は保証をする事

      ③不動産その他重要な財産の取引

      ④訴訟行為をする事

      ⑤贈与、若い又は仲裁合意

      ⑥相続の承認、放棄又は遺産分割

      ⑦贈与や遺贈を拒絶し、または負担付の贈与を受ける事

      ⑧新築、増改築、大修繕をする事

      ⑨山林10年、その他の土地5年、建物3年を超える賃貸借をする事・・・

      過去出題あり

    7. 被補助人
    原則
    被補助人は単独で法律行為をすることができる。

    例外
    家庭裁判所から補助人の同意を要する旨の審判を受けた特定の法律行為については、補助人の同意を得なければならない。

    ※なお特定の法律行為は前段の保佐人の同意を必要とする事項の一部でなければならない。

    制限行為能力者の取り消しと第三者

          
    A(未成年) ⇔ B ⇔ C(善意)

    例えば未成年者Aが自己所有の土地を単独でBに売却し、Bが当該土地を善意の第三者Cに転売した後、Aが取消権を行使したとします。

    A-Bの関係:AB間の契約は最初にさかのぼって無効になる。

    A-Cの関係:AはAB間の契約を取り消したことをCに主張し、Cに対して土地の返還を請求できる。

    つまり制限行為能力者の取り消しは善意の第三者に対抗することができる。


    制限行為能力者の相手方の保護

    制限行為能力者と取引をした相手方は、契約を取り消されるかもしれないという不安定な地位に立たされます。

    そこで民法では相手方との調整規定を設けています。

    1.催告権
    相手方は制限行為能力者の保護者に対し、1か月以上の期間を定めて契約を追認するか否か確答するよう催告することができます。

    催告に対し確答があればそれに従い、確答が無ければ契約を「追認したもの」と扱われます。

    例外として、被保佐人・被補助人が催告に対し確答が無い場合は、契約を取り消したものとみなします。

    2.制限行為能力者の詐術
    制限行為能力者が行為能力者であると信じさせるため、詐術を用いたときはその行為を取り消すことができます。

    例:未成年であるのに、成年であると思わせる行為をし、契約行為を行った場合等。

    成年被後見人等の居住用不動産の処分についての許可

    保護者(成年後見人・保佐人・補助人)は制限行為能力者に代わって、その居住の用に供するts手物又はその敷地について、売却または賃貸又は抵当権の設定その他の処分をするには家庭裁判所の許可が必要である。

    まとめ

    民法における制限行為能力者についての問題は必ず出題があります。

    制限行為能力者の種類と、その行為の効果、取り消しの効果、等が出題される傾向にあります。

    マーカー部分と、上記の表については必ず覚えておきましょう。