中古住宅市場の活性化と子育て世代に対する安価な住宅の供給の推進

今回のこのタイトルは何を隠そう日曜日に行われた参議院選挙で掲げられた、”公約”の一部です。
抜粋しますと、

  • 子育て世代に対する安価な住宅の供給や三世代同居・近居を推進します。

  • 不動産市場を支える制度面の整備により、不動産市場の活性化や投資の喚起を促します。

  • 空き家の除去や再生支援など空き家対策を推進し、耐震化、省エネ化、長寿命化などのリフォームの促進、リフォーム産業の活性化とあわせ、適正な建物評価の定義、取引市場環境の整備などを通じ、中古住宅市場の活性化を図ります。

  • 実は試験にきちんと合格した日本の不動産業者ならば知っていることですが、実は欧米では中古住宅の方が価値が高かったりするのです。

    住宅の流通に関する中古住宅のシェア率はおよそ米国 83.1%、イギリスの88.0%、フランスの68.4%であるのに対し、日本ではわずか14.7%しかそのシェアが無く、先進国では有りえない割合になっています。

    これは現在の日本人の新築に対する価値観が中古住宅に対してはるかに上回っていると言う事の表れなのですが、戦後の住宅難や高度経済成長期における1億総マイホーム等の新築住宅主導型の国策やスローガンによるある種のメディアコントロールによってなされた結果なのです。

    要はお国や大手メーカーによって「新築は素晴らしい。一人前の証」、「中古は予算が無い人が買うもの」というようなイメージ付けがなされ、その結果中古住宅の流通市場が狭まっているのです。

    想像してみて下さい。

    新築より中古住宅の方が素晴らしい!メリットがある!価値がある!・・・といった意識を日本人の多くが持っていれば新築と中古市場とが全く逆になるのです。

    車並みに住宅についても中古住宅が流通するようになれば面白いですよね?

    日本という国が国策としてその方向へ”意識を変えていこう”という公約なのです。

    ではなぜ今、このような公約が掲げられているのでしょうか?

    それは欧米と比べておかしい、という理由ではなくこの国の少子化対策や高齢化対策を踏まえ、政策の転換期がすでにやって来ており、遅まきながら対応しなくては駄目であることにようやく気付いたからに他ならないのです。

    政策で中古住宅の流通促進を図る3つの理由

  • 約820万戸もの住宅が空き家状態にあり、円滑な中古住宅の活用が進んでない

  • 中古住宅の流通促進は住宅市場の規模拡大による経済効果が期待できる

  • 日本の住宅ストック数は約6060万戸まで拡大しており、すでに戸数的には飽和状態

  • この3点が大きな理由ですが、家が余っている状況の中で、その余っている”中古住宅を円滑に流通させていくことで経済効果を出そう”というのがメインの考え方です。

    そして中古住宅活用型市場への転換を図っていくことで、低所得世帯や子育て世帯に対する安価な中古住宅を提供し、高齢化によってもたらされた空き家の増加を抑えようとする試みでもあります。

    安全・安心な中古住宅取引の実現をする為に

    公約だけではなく、国としての方向性が間違いなくそうなっているのは明らかです。

    その例として、国土交通省は住宅性能表示制度を見直し、これまで新築住宅にしか採用されていなかった「劣化対策等級」を中古住宅の性能表示にも追加しました。

    この「劣化対策等級」は客観的に中古住宅の構造躯体やその程度を表せるようにし、一般消費者にも構造躯体に使用する材料の交換など、大規模な改修工事を必要とするまでの期間を伸長するため、必要な対策の程度を評価・表示出来るようにしたものです。

    難しい言い回しですが、要はどれくらい手を入れればどれくらい強度を増し、家が長持ちするか?というのを数字で表す、と言う事です。

    またお国は、住生活基本計画も見直し、大きく3つのビジョンを示しました。

  • 若年・子育て世帯や高齢者が安心して暮らすことができる住生活の実現を目指す

  • 既存住宅の流通と空き家の利活用を促進し、住宅ストック活用型市場への転換を加速する

  • 住生活を支え、強い経済を実現する担い手としての住生活産業を活性化する
  • 簡単に言うと”中古住宅の販売流通の環境を整え、若年・子育て世帯や高齢者にも供給し、経済効果を出しましょう”と言う事です。

    また、それを促進する為、市場整備の為に5月には宅建業法が改正されています。

  • 媒介契約締結時に、インスペクション業者の斡旋(あっせん)に関する事項を記載した書面を依頼者(売り主)へ交付する

  • 重要事項説明時に、買い主に対してインスペクションの結果の概要を説明する

  • 売買契約の成立時に、建物の状況について当事者の双方が確認した事項を記載した書面の交付を宅建業者に義務付ける

  • インスペクションとは・・・住宅診断という意味です。

    宅建業者が中古住宅の売却を売り主から依頼され、売り主と宅建業者の間で媒介契約を締結する際、その売り主にインスペクション(専門家による建物の状況調査)を行うか否かを確認し、売り主が望んだ場合にはインスペクション業者を斡旋することとなりました。


    現在は売主が望めば業者を斡旋することとなっている為、売り主の意向(利用の有無)を確認するだけで、売り主に利用を強制(義務化)するわけではありません。

    しかし将来的には義務化される方向性の意図が見られます。

    この法改正は正式に施行されるのは今後2年以内であり、目先の媒介および売買契約において適用されるわけではありません。

    それでも国が中古住宅を買いやすく、基準を厳格化していき、中古市場を活性化していこうという流れに変わりはありません。

    10年先か20年先かは分かりませんが、中古住宅が新築並みに価値ある買い物になる日は必ずやってきます。
    その日が少しでも早くやってくるように、我々も勉強しないといけません。